マーケティング領域で使われる用語はカタカナやアルファベットで、理解が難しいものも多いです。この記事では、マーケティング担当者が知っておくべき基本的な用語から、デジタルマーケティング、Web マーケティングで頻出の重要用語まで、わかりやすく解説します。

マーケティングの基礎用語

ここでは、最も上流的なマーケティング戦略、戦術を立てる上で欠かせない基本的な概念と用語を解説します。

STP 分析とは？

STP 分析は、マーケティング戦略の根幹を成すフレームワークであり、セグメンテーション（Segmentation）、ターゲティング（Targeting）、ポジショニング（Positioning）の頭文字を取ったものです。この分析を用いることで、企業は市場全体を細分化し、最適な顧客層を特定できます。

セグメンテーションでは、地理的変数、人口統計学的変数、心理的変数、行動変数などを用いて市場を細分化します。ターゲティングでは、細分化されたセグメントの中から、自社の製品やサービスが最も適合するセグメントを選び出します。ポジショニングでは、選ばれたターゲット顧客に対して、自社の製品やサービスの独自性や価値を明確にします。

STP分析をした時点で、あまりに狭い顧客層を想定してしまうことがあるため、STP分析においては、規模として適切か、実際に属性把握が可能か、リーチ出来るかなどの点を意識することで適切な分析を行うことが可能です。STP 分析を適切に行うことで、企業はマーケティング資源を効率的に配分し、競争優位性を確立することができるでしょう。顧客ニーズに合致した製品やサービスを提供することで、顧客満足度を高め、長期的な顧客関係を築くことも可能になります。

ペルソナとは？

ペルソナとは、自社の製品やサービスを利用する可能性が高い、架空の典型的な顧客像を指します。単なる統計データではなく、年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、価値観、ライフスタイル、抱えている課題やニーズなど、詳細な情報を含んだ人物像として設定されます。

ペルソナ設定のプロセスでは、まず、既存顧客データや市場調査データ、顧客インタビューなどを分析します。これらの情報をもとに、顧客の行動パターンや購買動機、情報収集方法などを把握し、ペルソナのプロファイルを構築していきます。

ペルソナを活用することで、マーケティング戦略の方向性が明確になり、より効果的な施策を展開できるでしょう。ペルソナが利用する可能性の高いメディアに広告を掲載したり、ペルソナのニーズに合致した製品開発を行ったりすることが可能になります。

カスタマージャーニーとは？

カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを認知してから購入し、利用を経て推奨に至るまでの一連のプロセスを顧客視点から可視化したものです。このマップを作成することで、企業は顧客との接点や感情を理解できます。

カスタマージャーニーマップは、通常、認知、興味・関心、検討、購入、利用、継続利用・推奨などの段階に分けられます。各段階で顧客の行動や感情を分析し、マップに落とし込むことで、顧客体験の改善点を見つけることができるでしょう。

デジタルマーケティング用語

オンライン環境でのマーケティング活動に関する重要用語を解説します。

SEO（検索エンジン最適化）とは？

SEO（Search Engine Optimization）とは、Web サイトや Web ページを検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるように最適化する施策のことです。検索エンジンは独自のアルゴリズムに基づいて Web サイトのランキングを決定しており、このアルゴリズムは常に変化しています。

SEO 対策は、内部対策と外部対策の 2 種類に分けられます。内部対策は、Web サイトの構造やコンテンツを最適化する施策です。キーワードの適切な使用、メタデータの最適化、サイト構造の改善などが含まれます。外部対策は、他の Web サイトからの被リンクを獲得する施策です。

SEO 対策は長期的な視点での継続的な取り組みが必要であり、検索エンジンのガイドラインに沿った正当な対策（ホワイトハット SEO）を行うことが重要です。

コンテンツマーケティングとは？

コンテンツマーケティングとは、ターゲットオーディエンスにとって価値のある、有益なコンテンツを作成・配信することで、見込み客を引きつけ、顧客へと転換させるマーケティング手法です。直接的な宣伝ではなく、課題解決やニーズに応える情報を提供することで信頼関係を構築します。

コンテンツマーケティングで作成されるコンテンツには、ブログ記事、動画、インフォグラフィック、eBook、ウェビナーなどがあります。これらは、Web サイト、SNS、メールマガジンなど、様々なチャネルで配信されます。

質の高いコンテンツは、SEO 対策にも効果的で、検索エンジンからの評価を高め、Web サイトのランキングを向上させる効果があります。また、SNS でのシェアや被リンクの獲得にも繋がり、トラフィック増加にも貢献するでしょう。

MA（マーケティングオートメーション）とは？

MA（マーケティングオートメーション）とは、マーケティング活動を自動化するためのツールやプラットフォームのことです。見込み客の獲得から育成、顧客化、顧客維持に至るプロセスを効率化し、売上向上に貢献します。

MA ツールの導入により、マーケティング担当者は手作業から解放され、戦略的な活動に集中できます。例えば、見込み客の属性や行動履歴に基づいたパーソナライズされたメールの自動送信や、興味関心度のスコアリングなどが可能になります。

代表的な MA ツールには、Salesforce Pardot、Marketo、HubSpot などがあります。自社のニーズや予算に合わせて最適なツールを選択し、マーケティング戦略と連携させることが重要です。

Web マーケティング用語

ウェブサイトを中心としたマーケティング活動に関する専門用語を解説します。

アトリビューションとは？

アトリビューションとは、Web サイトへのコンバージョンが発生した際に、どのマーケティングチャネルやタッチポイントが貢献したのかを評価する手法です。顧客は複数のチャネルを経由してコンバージョンに至るため、各チャネルの貢献度を正確に把握することが重要です。

アトリビューションモデルには、ラストクリックモデル（最後のタッチポイントに 100%の貢献度を割り当てる）、ファーストクリックモデル（最初のタッチポイントに 100%の貢献度を割り当てる）、線形モデル（全てのタッチポイントに均等に貢献度を割り当てる）などがあります。

適切なアトリビューションモデルを選択し分析することで、効果的なマーケティング戦略を立案し、ROI（投資対効果）を最大化することができるでしょう。

LPO（ランディングページ最適化）とは？

LPO（Landing Page Optimization）とは、広告や検索エンジンからのアクセスを受け止めるランディングページのコンバージョン率を高めるための施策です。ランディングページは訪問者が最初に目にするページであり、その出来がコンバージョンに大きく影響します。

LPO の基本的な考え方は、訪問者のニーズに合致した情報を提供し、行動を促すことです。具体的には、検索意図に沿ったコンテンツ作成、魅力的なキャッチコピーや画像の使用、CTA（Call To Action）ボタンの最適化などが含まれます。

LPO を行う際には、A/B テストなどの検証方法を活用し、様々な要素を比較検討しながら改善を進めていくことが一般的です。継続的なテストと改善により、コンバージョン率の向上と広告費の削減が期待できます。

EFO（エントリーフォーム最適化）とは？

EFO（Entry Form Optimization）とは、申し込みフォームや問い合わせフォームなどの入力フォームを最適化する施策です。ユーザーがストレスなくスムーズに入力できるよう、フォームのデザインや項目を改善することで、入力完了率を高め、コンバージョン数を増やすことができます。

EFO の基本的な考え方は、ユーザーの負担を軽減し、入力しやすい環境を提供することです。入力項目を必要最小限に絞り、入力例やヒントを表示するなどの工夫が効果的です。また、エラーメッセージを分かりやすく表示し、モバイルデバイスでも快適に入力できるよう最適化することも重要です。

ユーザーの行動を分析し、フォームのどこで離脱が多いのかを把握した上で、A/B テストなどを活用して改善を進めていくことが効果的です。特に EC サイトや会員登録サイトでは、EFO の重要性が高まります。

指標に関するマーケティング用語

マーケティング活動の成果を測定する際に重要となる指標について解説します。

KPI（重要業績評価指標）とは？

KPI（Key Performance Indicator）とは、組織やチームが設定した目標の達成度合いを測定するために用いられる数値指標です。KPI は、KGI（Key Goal Indicator：重要目標達成指標）という最終目標を達成するための中間目標として設定され、日々の活動の進捗状況を把握するための指標となります。

KPI の例としては、Web サイトのアクセス数、コンバージョン率、顧客獲得単価、顧客生涯価値（LTV）、顧客満足度などが挙げられます。これらは業種やビジネスモデルによって異なり、自社の状況に合わせて適切な KPI を設定する必要があります。

KPI を定期的にモニタリングし、目標値との乖離がある場合は、原因を分析して改善策を講じることが重要です。KPI を効果的に活用することで、マーケティング活動の効率化と ROI の向上が期待できます。

KGI（重要目標達成指標）とは？

KGI（Key Goal Indicator）とは、企業や組織が最終的に達成したい目標を定量的に表す指標です。KGI は、組織全体の戦略目標を具体的に示し、その達成度合いを測定する基準となります。

KGI の例としては、売上高、利益率、市場シェア、顧客満足度などが挙げられます。KGI を設定する際には、企業のビジョンやミッションと整合性があり、現実的で達成可能な目標を設定することが重要です。具体的で測定可能な指標を選ぶことも大切です。

KGI を達成するためには、KPI を設定し、日々の活動の進捗状況をモニタリングすることが必要です。KGI と KPI を適切に連携させることで、組織全体の目標達成に向けた効果的な戦略を実行することができます。

ROI（投資対効果）とは？

ROI（Return on Investment）とは、投資した費用に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。マーケティング施策の効果測定において重要な指標であり、どの施策が最も効果的かを判断するために用いられます。

ROI は、以下の計算式で算出されます：
ROI = （利益 – 投資額）/ 投資額 × 100

例えば、マーケティングキャンペーンに 100 万円を投資し、200 万円の利益が得られた場合、ROI は 100%となります。つまり、投資額と同額の利益を生み出したことになります。

ROI を正確に測定するためには、投資額と利益を正確に把握する必要があります。定期的に ROI を測定・分析することで、マーケティング施策の効果を改善し、ROI を最大化することができるでしょう。ROI は、経営層や投資家に対してマーケティング活動の成果を説明する際にも重要な指標となります。

まとめ

マーケティングの世界は多様な用語で溢れています。この記事では、マーケティング戦略の基礎となる STP 分析やペルソナ、デジタルマーケティングの重要要素である SEO、コンテンツマーケティング、MA、そして Web マーケティングの LPO や EFO、効果測定に不可欠な KPI、KGI、ROI まで、幅広い用語を解説しました。

これらの用語を理解し、実際のマーケティング活動に活用することで、より効果的な戦略を立案・実行することができます。マーケティングは常に変化する市場や顧客のニーズに対応していく必要があるため、最新のトレンドをキャッチアップし、新しい概念を学び続けることが重要です。

この記事が皆様のマーケティング知識の向上に役立ち、ビジネスの成長に繋がれば幸いです。効果的なマーケティング戦略の立案と実行に、ぜひこの用語集をお役立てください。